
こんにちは!『働き方と暮らしを整えるブログ』を運営している小野寺です。
30代になり、職場で「責任ある立場」を任されるようになったパパのみなさん。毎日、本当にお疲れ様です。
私は現役の理学療法士(PT)として働きつつ、FP2級の知識を活かして、身体とお金の両面から人生のコンディションを整えるお手伝いをしています。
かつて適応障害を経験した私は、組織の中で「なんでこんなに話が通じないんだ!」「正論を言っているはずなのに、なぜか物事が進まない…」と悩み、心を擦り減らしたことがありました。
「社内政治なんてくだらない」「根回しなんて卑怯だ」と思っていました。しかし、今回ご紹介する『社内政治の科学』を読み、今までなんとなくで済ませていた社内政治について考えることが出来ました。
この本は、決して「人を騙すテクニック」を教えるものではありません。経営学の視点から組織のメカニズムを解き明かし、私たちが職場で消耗せず、賢く立ち回るための「地図」を与えてくれる一冊です。
🌟 この記事を読むと得られる3つのメリット
・「社内政治=悪」という思い込みが外れ、心が軽くなる
・提案を通すための「根回し」を戦略的に行えるようになる
・職場のパワーバランスを客観的に「診る」力がつく

書籍概要:『社内政治の科学』
| タイトル | 社内政治の科学 経営学の研究成果 |
|---|---|
| 著者 | 木村琢磨(きむら たくま) |
| 出版社 | 日経BP |
| 出版日 | 2025年 |
| 著者紹介 | 法政大学経営学部教授。専門は組織行動論。組織における人間行動や社内政治、キャリア形成を研究。 |
| ページ数 | 261 |
書籍目次
第1章:あなたの周りの社内政治
第2章:「日本だけ」ではない社内政治
第3章:そもそも社内政治とは?
第4章:リーダーシップとしての社内政治
第5章:ビジネスパーソンに必要な政治力
第6章:社内政治を分析する
「社内政治」は根絶すべき悪ではない
「風通しの良い、社内政治のない会社で働きたい」
誰もがそう願いますよね。しかし、本書の結論は残酷ながらも明快です。
「社内政治は『なくせるもの』ではありません。政治のない組織が健全な組織になるとは限らないのです」
これ、驚きですよね。例えば「心理的安全性(※1)」を掲げ、何でも自由に言える雰囲気を作ったとしても、結局は「多数派の意見」や「世間のポジティブな流行」に逆らえない、形を変えた同調圧力が生まれてしまうことがあるそうです。
※1 心理的安全性:自分の意見やミスを口にしても、拒絶されたり恥をかかされたりしないと信じられる状態のこと。
社内政治は、人が集まれば必ず起こる「前提」の現象です。これを理学療法に例えるなら、「重力」のようなものかもしれません。重力をなくすことはできませんが、重力を理解して身体の使い方を工夫すれば、楽に動けますよね。職場も同じです。

組織の地図を診る「政治ランドスケープ」
「あの人はなぜか発言力が強い」「あの2人は実は仲が良い」
公式な組織図には書いていない、こうした「裏のつながり」を正しく把握することを、本書では「政治ランドスケープ(※2)」と呼んでいます。
※2 政治ランドスケープ:直訳すると「政治的な風景」。組織内の権力構造や非公式な人間関係を地図のように捉えた概念。

これを正確に把握する「認知的精度」が高い人ほど、仕事で成果を出しやすくなります。具体的には、以下の3つに注目します。
- 権力: 役職上の権限だけでなく、「あの人が言うなら協力しよう」と思われる実質的な影響力を持つ人。
- 非公式ネットワーク: 「誰が誰に相談しているか」「誰と誰が同期で親しいか」という裏のつながり。
- 連帯: 特定の目的のために、部署を越えて協力し合う一時的なグループ。
PTとして患者さんの身体の歪みをチェックするように、職場の「人間関係の歪みや力の流れ」を客観的に観察してみましょう。それだけで、「誰に先に相談しておくべきか」が見えてきます。
提案を成功させる「3つの文脈知識」
「良い提案をしているのに、なぜか却下される」
それはあなたの提案が悪いのではなく、「文脈知識(※3)」が足りないだけかもしれません。
※3 文脈知識:その組織で「何が正当とされるか」「何が重要視されているか」という背景を知るための知識。

本書では、以下の3つの知識が重要だと説いています。
① 関係性知識
「この提案が通ったとき、誰が喜び、誰が損をするのか?」を知ることです。意思決定者の利害関係を把握し、あらかじめ「味方」を増やしておく必要があります。
② 規範知識
「この会社ではどういう形式の資料が好まれるか」「どういう順番で説明すべきか」という暗黙のルールです。これを知らないと、内容は良くても「場違い」と判断されてしまいます。
③ 戦略知識
「今、会社(経営陣)が一番解決したい問題は何か?」に提案を結びつける力です。自分のやりたいことを、会社の目標に「翻訳」して伝える技術です。
政治力は「メンテナンス」が必要
「政治力(知識やスキル)」は、一度身につければ一生安泰というわけではありません。
異動や転職で人間関係がリセットされれば、「政治知識」はゼロになります。また、スキルも使わなければ鈍ってしまいます。
これはFPとしての資産形成と同じですよね。一度プランを作って終わりではなく、家計の状況や社会情勢に合わせて常にメンテナンスが必要です。

適応障害をきっかけに転職や挫折を経験しました。今後も働くうえで、「自分と大切な同僚を守るための防衛術」として、この政治力を磨き続けることは、働きやすさを整えるために不可欠だと感じています。

📌 今回の要点まとめ
社内政治は「現実」: なくそうとするのではなく、ある前提で動く。
組織の「診察」: 役職ではなく「実質的な影響力」と「非公式なつながり」を観察する。
提案の「翻訳」: 「誰に」「どんなルールで」「戦略のどこに当てて」伝えるかを設計する。
継続的な維持: 政治力は異動や転職で下がる。常にアップデートし続ける。
まとめ:社内政治は「思いやり」のツール
「社内政治」という言葉を聞くと、どこかドロドロしたイメージを持つかもしれません。しかし、その正体は、「人が集まる場所で、どう円滑に物事を進めるか」というコミュニケーションの工夫そのものです。
多忙な子育てパパにとって、職場の人間関係で消耗することは、家での時間を奪われることにも繋がります。社内政治を「科学」として学び、冷静に対処することで、私たちはもっとスマートに、そして心穏やかに働けるようになるはずです。
「社内政治に詳しくなって、あわよくば自分の仕事をもっと楽しくしよう」
そんな軽い気持ちから始めてみませんか?
今日もお読みいただき、ありがとうございました。一緒に暮らしと働き方を整えていきましょう!