「努力不足」は呪いだった。30代パパを救う『自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門』書評

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こんにちは。仕事、そして育児のタスクに追われている小野寺です。

「なんでこんなに頑張ってるのに、うまくいかないんだろう…」
「もっと努力しなきゃ、周りに置いていかれる…」

ふとした瞬間に、こんな風に自分を責めてしまうことはありませんか?
実はそれ、あなたのせいではなく、日本社会特有の「呪い」かもしれません。

今回紹介するのは、磯野真弘さんの著書『自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門』です。
この本は、「努力」や「常識」といった、私たちが普段疑いもしない「あたりまえ」を、文化人類学という視点で鮮やかに切り崩してくれます。

思考のコリがほぐれ、自分を縛り付けていた見えない鎖から解放されこんな考えもあったんだと感じて欲しいです。

🌿 この記事を読むメリット
・「努力が足りない」という自責の念が、実は現代の「呪術」だと気づけます。
・「自分のものさし」を疑うことで、転職や新しい挑戦へのハードルが下がります。
・運が悪かった時、自分を責めずに心を回復させる思考法が身につきます。
・凝り固まった日常を「異文化」として楽しむ、新しい視点が手に入ります。

目次

書籍概要:『自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門』

タイトル自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門
著者磯野 真弘(いその まさひろ)
出版年2024年
著者紹介文化人類学者。医療人類学や高齢化社会を研究。異文化の生活様式や価値観を深く探る視点から、読者に「自文化の常識」を問い直すヒントを提供。
ページ288

目次

第0話 本編に入る前に そもそも「文化」ってなんだろう? 
第1話 集団と親族 なぜ私たちは「よそ者」に冷たいのだろうか? 
第2話 家族と血 家族にとって血のつながりは大切か? 
第3話 贈り物と負い目 なぜ贈り物をもらったら、お返しをするのか? 
第4話 汚穢と禁忌 なぜ私たちは唾液を“汚い!”と感じるのか? 
第5話 儀礼と境界 なぜ「就活」はあんなにつらいのか? 
第6話 宗教と宗教心 日本人は本当に無宗教といえるのか? 
第7話 呪術と科学 なぜ不運なことが起きたとき「“努力”が足りなかった」と思うのか? 
第8話 民族とエスニシティ 「日本人」とは誰を指すのか? 
第9話 人間と文化 「あたりまえを切り崩す」とはどういうことか?

「常識」という名の鎖に縛られていた私

私自身、以前は「ひとつの場所で長く働くのが正解」「医療職ならこうあるべき」という固定観念に縛られていました。

しかし、転職を機に医療の世界から療育の世界へ飛び込んだとき、衝撃を受けました。
「こんな世界があるんだ」「今までの常識は、狭い世界だけのルールだったんだ」と。

この本を読む前は、文化人類学という言葉すら知りませんでした。
しかし読み進めるうちに、私が感じたあの衝撃は、まさに文化人類学的な「自己変容」だったのだと気づきました。

「常識」は、決して絶対的なものではありません。
今、仕事や育児で息苦しさを感じているなら、それはあなたが悪いのではなく、あなたが今いる場所の「常識」が合わなくなっているだけかもしれないのです。

文化人類学で「心の呪い」を解く3つの視点

1. 「自分のものさし」そのものを疑う勇気

💡 この章でわかること:環境を変えることで、自分自身を変える方法

著者はこう言います。
「自分のものさしで問うのではなく、自分のものさしを問いなさい」

私たちは普段、無意識のうちに「自分のものさし(価値基準)」で物事を判断しています。
「あの人は仕事が遅い(=速いのが正義)」
「もっと勉強しなきゃ(=学歴が正義)」

しかし、異なる環境(海外など)に行くと、その「ものさし」自体が通用しなくなります。
著者はこれを「人生を2回生きるに等しい経験」と表現しています。

副業パパ視点での気づき:
これは海外に行かなくても、転職や引っ越しでも同じことが言えます。
私自身、転職で環境を変えたことで、「自分はこういうものさしで世界を見ていたのか」と気づけました。
今いる場所が辛いなら、「逃げる」のではなく「ものさしを変えに行く」と考えれば、行動する勇気が湧いてきませんか?

【再現性の高いアクション】
今週末、全く興味のなかったジャンルの本を読むか、行ったことのないコミュニティに顔を出してみましょう。
小さな「異文化体験」が、あなたのものさしを揺さぶる第一歩になります。私は今までx(旧Twitter)で人と交流をすることはほとんどなかったのですが、人と交流することでいろんなものさしで見れたような気がします。

2. 「努力不足」という現代の呪術を解く

呪術のイメージ画像
呪術をイメージした小野寺

💡 この章でわかること:自分を責める「自責思考」の正体

この本の中で最も衝撃的だったのが、「努力信仰は現代の呪術である」という指摘です。

大事な試験の日にインフルエンザにかかったら、あなたはどう思いますか?
「運が悪かった」と思う一方で、「健康管理が甘かった」「もっと早く寝る努力をすればよかった」と自分を責めませんか?

著者はこれを、「努力」という概念を使った「神秘的な因果関係」への納得だと分析します。
本来、ウイルス感染は偶然の要素が強い「自然の因果関係」です。それを無理やり「自分の努力不足」のせいにするのは、ある意味で「妖術のせいだ」と考えるのと構造は同じなのです。

副業パパ視点での気づき:
副業や仕事で成果が出ない時、私たちはすぐに「努力が足りない」と思いがちです。
でも、それは呪いかもしれません。
「今回は運の要素が悪かった」「タイミングが合わなかった」と捉えることは、逃げではなく、客観的な事実認識なのです。
(呪術と聞いて、某人気漫画の「領域展開」を思い浮かべたのは私だけではないはず…笑)

【再現性の高いアクション】
失敗した時、反射的に「自分のせいだ」と思うのをやめましょう。
「努力でコントロールできた部分」「運(偶然)の要素」を紙に書き出して分けてみてください。
自分を責める時間を、次の対策を練る時間に変えられます。

3. あたりまえを「疑う」のではなく「切り崩される」体験

💡 この章でわかること:意図せずに視野が広がる瞬間の大切さ

著者は、あたりまえを意図的に「疑う」のではなく、「切り崩される」体験が重要だと説きます。
「疑う」のは能動的ですが、「切り崩される」のは受動的。
異文化や新しい知識に触れる中で、「あ、自分の常識が壊れた」と気づく瞬間です。

例えば、「イヌは食べ物ではない」という常識。
これは日本では当たり前ですが、世界にはイヌを食べる文化もあります。
それを知った時、私たちは「ありえない!」と拒絶するのではなく、「なぜ自分たちは食べないのか?」と自問することで、初めて自分の文化を客観視できるのです。

副業パパ視点での気づき:
ブログやSNSの発信をしていると、予期せぬコメントや反応をもらうことがあります。
それを「批判された」と捉えるか、「自分の常識が切り崩された(新しい視点をもらえた)」と捉えるかで、成長スピードが変わります。
切り崩されることを楽しむ姿勢こそが、これからの時代を生き抜く柔軟性になるはずです。

【再現性の高いアクション】
自分と正反対の意見を持つ人の本や記事を、あえて読んでみましょう。
「なるほど、こういう理屈でそう考えるのか」と面白がれたら、あなたの常識はもう切り崩されています。

私の独自実践:日常を「異文化」として観察する

この本を読んでから、私は日常の風景を「文化人類学者の目」で観察するゲームを始めました。

💡 この章でわかること:退屈な毎日をワクワクに変える視点の転換

例えば、満員電車。
「なんでみんな、無言でスマホを見つめているんだろう?」
「この空間における『無言』は、お互いの領域を侵さないための儀礼なのかもしれない」

こんな風に、当たり前の光景に「なぜ?」と問いかけ、異文化を見るように観察してみるのです。
すると、イライラしていた満員電車も、興味深い「フィールドワーク(調査現場)」に変わります。

ブログのネタに困った時も、この視点は役立ちます。
「なぜあの人は、あんなに不機嫌だったのか?」を文化人類学的に考察してみる(笑)。
すると、感情的にならずに、背景にある「文化の押し付け」や「役割分担の非対称性」が見えてきたりします。

まとめ:「努力不足」の呪いを解いて、軽やかに生きよう

磯野真弘さんの『自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門』は、私たちを縛る「見えない鎖」を断ち切るためのハサミのような本です。

今回の要点まとめ
・自分を苦しめる「努力不足」という言葉は、現代の呪術かもしれない。
・環境を変えることは、「自分のものさし」を問い直す最高のチャンス。
・日常を「異文化」として観察すれば、ストレスは知的探求に変わる。

うまくいかない時、自分を責めるのはもう終わりにしましょう。
それはあなたのせいではなく、たまたま「運」や「巡り合わせ」が悪かっただけかもしれません。

「まあ、こういうこともあるか。文化人類学的には興味深いな」
そんな風に少し引いた視点を持つだけで、肩の荷がスッと降りるはずです。

まずは今日、自分が「絶対にあたりまえ」だと思っていることを一つだけ見つけて、「本当にそうかな?」と呟いてみてください。
その瞬間から、あなたの思考の自由への旅が始まります。

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この記事を書いた人

理学療法士 × FP × 2児のパパ。
働き方・お金・暮らしを“自分らしく整える”をテーマに発信中。

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