【書評】後悔は「心の自傷行為」だった。適応障害の私が救われた『その悩み、ほとんどあなたの妄想かもよ?』

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こんにちは。『働き方と暮らしを整えるブログ』を運営している小野寺です。

突然ですが、あなたは布団に入った後、こんなことを考えて眠れなくなることはありませんか?

「ああ、なんであの時あんな言い方をしてしまったんだろう」
「もっと早く準備しておけば、失敗しなかったのに」
「同僚はみんな出世しているのに、自分だけ取り残されている気がする」

30代、特に子育て世代のパパは、仕事の責任と家庭の役割の板挟みになりがちです。
「もっと頑張らなきゃ」「もっと稼がなきゃ」と自分を追い込み、終わったことをクヨクヨ悩んでしまう。

実は、かつての私もそうでした。
理学療法士として、「完璧」を目指して走り続けた結果、私は「適応障害」という強制停止ボタンを押されることになりました。

心が壊れた後、この本を読んで気づいたことは、「自分の悩みのほとんどは、現実ではなく、心が作り出した『妄想』だった」という考えです。

今回ご紹介する本、大愚元勝(たいぐ げんしょう)さんの『その悩み、ほとんどあなたの妄想かもよ?』は、そんな「真面目すぎて苦しい人」への処方箋のような一冊です。

著者は、YouTubeチャンネル登録者数60万人を超える人気のお坊さん。
仏教の教えを現代の悩みに置き換えて、ズバッと、でも温かく解決してくれます。

この記事では、一度メンタルダウンした私が、この本から学んだ「心をすり減らさずに生きるための具体的な思考法」を、忙しいパパ視点でシェアします。

🌿 この記事を読むとわかること
・「もっともっと」という終わりのない欲求から抜け出し、今の幸せに気づくことができます。
・過去を悔やむ「後悔」と、未来に活かす「反省」の違いがわかり、無駄に落ち込まなくなります。
・「絶望(挫折)」こそが新しいスタートラインだと理解でき、失敗を恐れずに挑戦できるようになります。

目次

書籍概要:『その悩み、ほとんどあなたの妄想かもよ?』

タイトルその悩み、ほとんどあなたの妄想かもよ?
著者大愚 元勝(たいぐ げんしょう)
出版日2025年
著者紹介佛心宗大叢山福厳寺住職。空手家、セラピスト、社長などの経歴を持つ異色のお坊さん。「大愚和尚の一問一答」というYouTubeチャンネルが人気で、現代人の悩みに仏教の視点から回答している。
ページ数272

書籍目次

◎第1章 「悩み」が生まれる場所
…苦しみをつくり出すのは他人ではなく「自分の心」
…「比べたくなる欲求」があらゆる悩みの元となる など
◎第2章 「怒り」の壁の乗り超え方
…他人へのイライラは、「勝手な期待」から生まれる
…妄想で嫌いな相手を「巨大化」させていないか など
◎第3章 「無知」の壁の乗り超え方
…「なんとなく不安」は正体を見える化すれば捨てられる
…「諦める」ことで、大切なものが明らかになる など
◎第4章 「ほしい」の壁の乗り超え方
…「羨ましいあの人」と同じ努力が自分にできるか
…「どうにもならないこと」に心を使わない など
◎第5章 マイナスな感情に溺れる「心のクセ」の直し方
…心の中を「善いもの」で満たす習慣づくり
…「ほとんど妄想」と割り切って生きる など

「もっとほしい」が苦しみの正体だった

私たちは普段、「幸せになるため」に頑張っていますよね。
良い会社に入り、昇進し、給料を上げ、マイホームを買い、良い車に乗る…。

でも、不思議なことに、何かを手に入れても、満足感は一瞬しか続きません。
すぐに「もっと広い家がいい」「もっと高い給料がほしい」と、次の欲求が生まれてきます。

本書の中で、著者はこう述べています。

人間には欲望というものがあり、これが大きくなればなるほど苦しみも大きくなっていく。(中略)ひとつ手に入れても、「あれもほしい、これもほしい」とほかのものがほしくなり、ついつい他人と比べ、「もっともっと」ほしくなってしまうからです。そしてこの「もっと」が、苦しみを増長させるのです。

【30代パパの気づき】成功=幸せではない

私は適応障害になる前、まさにこの「もっともっと地獄」にいました。
FPの資格を取り、資産形成に励み、仕事でも成果を出そうと必死でした。
でも、どれだけ頑張っても「まだ足りない」「あいつより稼げていない」と焦り続けていたのです。

本書に出てくるアメリカの歌姫、ビリー・アイリッシュさんの話は衝撃的でした。
世界的な名声とお金を手に入れた彼女でさえ、自殺願望を抱くほど苦しんでいたといいます。

「幸せのヒントは外側(お金や名声)ではなく、自分の内側(心のあり方)にある」

これは、身体のプロ(PT)として「健康」を考える時と同じです。
どんなに高価なサプリ(外側)を飲んでも、自分の生活習慣やメンタル(内側)がボロボロなら、健康にはなれません。
お金も同じ。どれだけ資産があっても、心が「足るを知る」状態になっていなければ、永遠に貧しいままなのです。

「後悔」はやめて「反省」だけ残す

仕事でミスをした時、あるいは家族に強く当たってしまった時。
あなたはどちらのタイプですか?

  • A:「なんであんなことしたんだろう…俺はダメなやつだ…」と数日間引きずる。
  • B:「原因は寝不足だな。次は早く寝よう」と分析して終わる。

本書を読む前の私は、圧倒的に「A」でした。
しかし、著者は「後悔」を厳しく否定します。

「あのときこうしておけばよかった」「あんなことしなければよかった」という後悔は、心の傷口を自分で刺しているのに等しいこと。(中略)いうなれば“心の自傷行為”であり、自分で自分を痛めつけていることになります。

「心の自傷行為」
この言葉にはハッとさせられました。
人間以外の動物(犬やヤギ)は、「3年前のあの失敗」を思い出してクヨクヨしたりしません。過去を思い出して自分を傷つけるのは、人間だけがやってしまう「脳のバグ」なのです。

【すぐ使えるアクション】後悔を「データ分析」に変える

著者は、後悔ではなく「反省」をしなさいと説きます。
これは、私が普段行っているPT(理学療法)の評価や、FP(ファイナンシャルプランニング)の改善に似ています。

  • 後悔(NG): 感情的に自分を責める。「自分はバカだ」「センスがない」
  • 反省(OK): 客観的に事実を分析する。「準備時間が10分足りなかった」「確認リストを使わなかった」

私は適応障害になった当初、「なんであんなに無理をしてしまったんだ」と激しく後悔しました。
でも、今はこう考えています。
「無理をしたからこそ、自分の限界(キャパシティ)のデータが取れた」
「この経験があったから、ブログという新しい表現に出会えた」

「過去の出来事をどう捉えるか」。それこそが仏教でいう「心」のテーマなのです。
もし今、あなたが過去の失敗を引きずっているなら、それは「心のナイフ」で自分を刺しているのと同じです。
まずは「ナイフを置く(自分を責めるのをやめる)」ことから始めましょう。

「絶望」とは「諦める(明らかにする)」こと

適応障害」と診断されたあの日。
私は正直、「人生が終わった」ような絶望感を感じました。
キャリアに傷がついた、みんなと同じように働けない、家族に迷惑をかける…。

しかし、この本には驚くべきことが書かれていました。
「絶望のあとには希望しかない」のです。

絶望から立ち直るということは、それまで抱いていた自分の願望を手放すことができたということ、「諦め」を受け入れられたということです。(中略)仏教では「諦め」には「ギブアップ」という意味がありますが、「明らかにする」という意味でも使われます。自分にとって本当に必要なものであるか否かを明らかにする。

【30代パパの気づき】諦めたから、手に入ったもの

私は、「バリバリ働いて出世する」「誰からも評価される完璧なパパになる」という願望を、強制的に「諦め」させられました。

でも、そのおかげで「明らかになったこと」があります。
それは、「家族と笑って過ごす時間の尊さ」や、「ブログで自分の考えを発信して、誰かの役に立つ喜び」です。

もし私が順調に出世していたら、毎日残業で子供の寝顔しか見られず、このブログも存在していなかったでしょう。
絶望は、「お前の進む道はそっちじゃないよ」と教えてくれる、人生の方向転換サインだったのです。

著者は、お寺に来る子供たちに「早く絶望しろ」と言うそうです(笑)。
早く絶望して、自分に向いていないこと(妄想の願望)を捨てれば、残った「本当に大切なもの」に全力を注げるからです。

今、仕事や育児でうまくいかず「絶望」しかけているパパへ。
それはチャンスです。
見栄やプライドを「諦めて(明らかにして)」、身軽になるための最高のタイミングがきているのです。

そのアドバイス、信じていいの?(健全な疑い)

最後に、情報過多な現代において非常に重要な視点をご紹介します。
SNSを開けば「これで億稼げた」「この教育法が正解」といった情報が溢れていますよね。

著者はブッダの教えとして、「自分自身さえも疑え。そして他人のことも一度は疑ってみる」ことを推奨しています。

その人が思っていることではなく、その人が成したことや、結果を見なさい。口先だけで行動が伴っていない人は信じるに値しないということです。

【すぐ使えるアクション】「実績(行動)」を見る

これはFPとしても非常に共感します。
「この株は儲かるよ」と言う人が、自分でその株を買っていないなら、その言葉は信用に値しません。
「子育てはこうあるべき」と語る人が、実際には家庭を顧みていないなら、その言葉は空虚です。

私はブログを運営する上で、「自分が実践して、失敗したり成功したりしたこと」しか書かないと決めています。
「家事は労働だ」という勝間和代さんの言葉を信じたのは、彼女自身が実践して成果を出しているからです。

誰かの言葉に振り回されそうになったら、一度立ち止まって「その人は、行動しているか?」を見てください。
それだけで、あなたの悩み(妄想)の半分は消えてなくなるはずです。

まとめ:悩みは「妄想」だと気づけば、心は軽くなる

『その悩み、ほとんどあなたの妄想かもよ?』は、忙しさの中で自分を見失いそうになっている私たちに、「心の整え方」を教えてくれる本です。

✅ 今回の要点まとめ

  • 「もっともっと」をやめる:幸せは「外側(お金・地位)」ではなく、「内側(心のあり方)」にある。
  • 後悔は心の自傷行為:感情的に悔やむのではなく、データとして冷静に「反省」して次に活かす。
  • 絶望はスタートライン:諦めることは、自分にとって本当に大切なものを「明らかにする」こと。
  • 行動を見る:口先だけのアドバイスはスルーし、実践している人の言葉だけを信じる。

適応障害を経験した私は、今、胸を張って言えます。
「一度立ち止まっても、人生は大丈夫」だと。

むしろ、立ち止まって「妄想(無駄な悩み)」を手放した後の人生の方が、何倍も生きやすく、彩り豊かになります。

もし今、あなたが辛いなら。
それはあなたが「頑張りすぎている」証拠であり、そろそろ「不要な荷物(妄想)」を下ろす時期だというサインかもしれません。

まずは今夜、布団に入ったら、今日一日の「できなかったこと」ではなく、「できたこと」を一つだけ思い出して眠りにつきませんか?

それだけで、明日の朝は少しだけ、心が軽くなっているはずですよ。

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この記事を書いた人

理学療法士 × FP × 2児のパパ。
働き方・お金・暮らしを“自分らしく整える”をテーマに発信中。

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