
こんにちは。『働き方と暮らしを整えるブログ』を運営している小野寺です。
突然ですが、あなたは毎日どれくらいの「未読メッセージ」を抱えていますか?
仕事のメール、Slack、保育園からの連絡アプリ、妻からのLINE…。
30代の子育て世代、そして責任ある仕事を任される世代にとって、時間は常に「足りない」状態ですよね。
実は私自身、適応障害で休職するまでは、「長文のメールこそが丁寧さの証」だと思い込んでいました。
しかし、復職して気づいたのです。
「長い文章は、相手の時間を奪う『暴力』になりかねない」と。
今回ご紹介する本、トッド・ロジャース著『忙しい人に読んでもらえる文章術』は、ハーバード大学で教える行動科学者が書いた、「相手に動いてもらうための科学的なガイドブック」です。
この本は、単なる文章テクニックの本ではありません。
「忙しい相手への思いやり」を形にするための本です。
🌿 この記事を読むと得られる3つのメリット
・忙しい上司や同僚から、「YES」の返事を最速でもらえるようになります。
・「なんて返信しよう…」と悩む時間が減り、自分の自由時間が増えます。
・相手の脳に負担をかけない「優しさのあるコミュニケーション」が身につきます。
書籍概要:『忙しい人に読んでもらえる文章術』
| タイトル | 忙しい人に読んでもらえる文章術 |
|---|---|
| 著者 | トッド・ロジャース / ジェシカ・ラスキー・フィンク |
| 出版社 | ダイヤモンド社 |
| 出版日 | 2025年 |
| 著者紹介 | ハーバード大学ケネディスクール教授(行動科学)。「どうすれば人は行動するのか」を研究し、多忙な現代人に向けた効果的なコミュニケーション手法を提唱している。 |
| ページ数 | 252 |
書籍目次
はじめに:科学に基づいた効果的な文章術
■PARTⅠ 読み手を理解する
CHAPTER 1 「読み手の頭」はこうなっている
CHAPTER 2 「忙しい読み手」の視点で考える
CHAPTER 3 「自分の目的」を理解する
■PARTⅡ 6つの原則
CHAPTER 4 第一の原則:少ないほどよい
CHAPTER 5 第二の原則:読みやすくする
CHAPTER 6 第三の原則:見やすくする
CHAPTER 7 第四の原則:書式を生かす
CHAPTER 8 第五の原則:読むべき理由を示す
CHAPTER 9 第六の原則:行動しやすくする
■PART Ⅲ 原則を実践する
CHAPTER 10 「効果的な文章」を書く
CHAPTER 11 「誰が誰に書くか」を意識する
CHAPTER 12 原則を定着させる
読み手の脳は「パンク寸前」だと知る

まず、私たち書き手が直視しなければならない残酷な事実があります。
それは、「誰もあなたの文章なんて読みたくない」ということです。
本書にはこうあります。
忙しすぎることに気づかないくらい忙しすぎる。(中略)効果的な文章を書くには「読み手も自分と同じくらい時間不足を感じている」という事実を覚えておくべきだろう。
私はPT(理学療法士)として患者さんにリハビリの説明をしたりしますが、専門用語を並べ立てて説明しても、相手の目線が泳いでいる(聞いていない)ことがよくありました。
それは相手が不誠実なのではありません。
「キャパオーバー」なのです。
人間の脳が処理できるのは「7つ」まで

心理学者のジョージ・ミラーの研究によると、人間が短期記憶で保持できる情報は「7つ(±2個)」が限界だそうです。
それなのに、1通のメールに10個も要件が入っていたらどうでしょう?
脳は即座に「TL;DR(Too Long; Didn’t Read=長すぎて読んでない)」と判断し、そのメールを「後で読むフォルダ(=永遠に読まれない墓場)」送りにします。
「相手は自分と同じくらい忙しい」
この前提に立つことが、すべてのスタートラインです。

「少ないほどよい」は本当か?
では、ただ文字数を減らせばいいのでしょうか?
著者の答えは「基本はYESだが、目的による」です。
シェイクスピアの言葉に「簡潔さこそ知恵の真髄である」とあります。
私もブログを書く時、「短すぎると情報不足で不親切かな?」と不安になることがあります。
しかし、本書ではこう断言されています。
文章が長くなればなるほど、読み手に読んでもらいにくくなる。(中略)「少ないほどよい」ケースがあなたの想像以上に多い、と覚えておくといいだろう。
「削る」のではなく「蒸留」する
大切なのは、必要な情報を消すことではありません。
無駄な言葉を削ぎ落とし、本当に伝えたいコアな部分だけを残す作業です。

例えば、仕事で遅刻しそうな時の連絡。
悪い例:「すみません、今朝子供がぐずってしまって、着替えに時間がかかり、さらに電車が遅延していて…(言い訳が続く)…なので10分遅れます。」
良い例:「【遅刻連絡】電車遅延のため、10分遅れます。9:10には到着予定です。申し訳ありません。」
忙しい上司が知りたいのは「理由」ではなく「結論(いつ来るか)」だけです。
相手の時間を奪わないことこそが、最大の敬意(マナー)なのです。
視覚的に「スキャン」できるようにする

忙しい人は、文章を「読んで」はいません。
「見ている(スキャンしている)」のです。
PTのカルテやFPの資産表も同じです。
ダラダラと文章で書かれた経過報告よりも、パッと見てわかる「グラフ」や「表」の方が、医師やクライアントには喜ばれます。
本書でも、第6のルールとして「ビジュアルを使う」ことが推奨されています。
文章だけで伝えようとするのは、あえて険しい山道を登るようなもの。
以下のような工夫をするだけで、読み手の負担は激減します。
- 太字を使って、結論を目立たせる
- ダラダラ書かずに箇条書きにする
- 言葉で説明しにくいなら画像やスクショを貼る
「見た目」を整えることは、小手先のテクニックではなく、相手への「おもてなし」です。
特にスマホで読むことが多い現代では、パッと見の読みやすさが命取りになります。
今日から使える「6つの原則」チェックリスト
最後に、本書の核となる「忙しい人に読んでもらえる文章の6つの原則」をまとめました。
私もメールを送る前や、ブログを公開する前に、このリストで見直しをしています。

✅ 読んでもらえる文章・6つの原則
①「少ないほどよい」
言葉、内容、そして「相手への依頼」を極限まで減らす。
② 読みやすくする
中学生でもわかる簡単な言葉と、短い文章を使う。
③ 見やすくする(ナビゲーション)
見出し、箇条書きを使い、重要な情報が一目でわかるようにする。
④ 書式を生かす
太字やハイライトを使う(ただし使いすぎに注意!)。
⑤ 読むべき理由を示す
「なぜあなたに送ったのか」「読むとどんな得があるか」を冒頭で伝える。
⑥ 行動しやすくする
「リンクをクリックするだけ」「『承認』と返信するだけ」など、相手の作業を最小にする。
まとめ:文章を整えることは、人生を整えること
適応障害を経験した私は、「脳のエネルギー」がいかに有限で貴重なものかを知っています。
わかりにくい文章は、読んでいるだけで相手のエネルギーを奪ってしまいます。
逆に言えば、「わかりやすい文章」を書ける人は、それだけで周囲から信頼され、重宝されます。
「この人のメールはいつも明確で助かる」
「この人のブログは忙しくても読める」
そう思ってもらえれば、仕事も人間関係も、驚くほどスムーズに回るようになります。
まずは今日送るそのメールから。
「半分に削れないか?」「箇条書きにできないか?」
一度立ち止まって考えてみてください。
そのひと手間が、あなたの、そして相手の「暮らしを整える」一歩になりますよ。
※この記事の内容とは直接関係ありません。気になった方だけ後で読んでみてください。トップページにも漫画のバナーを貼っています!!
